高齢者の脳のサイズは、加齢に伴い変化します。具体的には、脳は年齢とともに萎縮し、特に30代から徐々にその傾向が見られ、65歳頃には肉眼で明らかな萎縮が確認できるようになります。脳の重さは、成人男性で1300~1400グラム、成人女性で1200~1300グラム程度ですが、90歳になると60歳の脳よりも約5~7%軽くなるとされています。
脳の萎縮は、神経細胞の減少が主な原因とされており、毎日約10万個の神経細胞が失われると考えられています。しかし、脳には約140億個の神経細胞が存在するため、全てが失われるまでには非常に長い時間がかかります。また、脳は代償能力が高く、残った神経細胞が新たな神経伝達経路を形成するため、機能が急激に失われることは少ないとされています。
特に前頭葉や側頭葉は、加齢に伴う萎縮が顕著であり、これが認知機能の低下や認知症のリスクに関連しています。ただし、脳の萎縮が必ずしも認知症を引き起こすわけではなく、萎縮の程度や範囲、部位によって症状が異なることがあります。
脳の萎縮を評価するためには、CTやMRIなどの検査が用いられます。これにより、萎縮の程度や範囲を詳細に把握することが可能です。
参考文献: